ソライモネ『88RHAPSODY』の感想 – バンド+ピアノ+BL

『僕らの地球の歩き方』の作者でもあるソライモネ先生の作品をピックアップします。

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目次

あらすじ

バンド「アルデバラン」のキーボード・ミヤが、目覚めると、隣に知らない男が寝ていた……!彼の正体は、音大生の律樹。大型ワンコ系で、将来有望なピアニストと期待されている。しかしそのプレッシャーに押し潰され、スランプに。音楽一家に生まれ、同じような経験をもつミヤは、律樹の力になりたいと思い……。

恋と夢にゆれる、バンド男子たちの今。

ソライモネ『88RHAPSODY』

88という数字にピンときた方は、きっと音楽が好きな方でしょう。
ピアノの鍵盤の数ですね。

タイトルの通り、この物語の片隅にはいつもピアノがあります。
音楽が好きな方やピアノが好きな方には親しみやすい作品だと思います。

物語の中心となる登場人物は2人。

一人は、バンドでキーボードを担当するミヤ。
マッシュルームヘアに眼鏡。
クールで少し気怠げな雰囲気もあります。
じとっとした目つきはチャームポイント。

もう一人は、音大生の律樹。
黒髪の大型ワンコ系。
プライベートではもさもさのヘアスタイルなのに、大学に通っているときなどはカッチリとセットしているギャップが素敵。

ミヤが所属しているバンド「アルデバラン」のライブの打ち上げでふたりは出会います。
打ち上げの会場であった居酒屋のトイレで偶然にも対面します。

それからあれやこれやあって、ミヤと律樹は関わりをもつように。

ふたりの共通点はピアノとともに生活しているということ。
調律師でもあるミヤが律樹のピアノを調律師したり、あるハプニングから律樹がミヤの生活をお手伝いしたりということが続いていきます。

感想

楽器の経験があると共感できる

音楽を題材にした作品だけあって、なにか楽器の経験がある方ならば共感できる台詞が随所にみられます。

一部をご紹介します。

焦れば焦るほど みんなのように上手く弾けない

上手く弾こうとすればするほど

自分がわからなくなって… 結局オレは心が折れた

ミヤの台詞 – ソライモネ『88RHAPSODY』

律樹はすごいねって 期待してるって

だからもっと上手く弾かなきゃって

耐えられない……

律樹の台詞 – ソライモネ『88RHAPSODY』

プロでなくても、楽器を続けていくと少なからずそういう気持ちになることはあると思います。

ミヤも律樹も、それぞれ才能がありながらも、スランプを経験しているんですね。
それでも音楽を続けています。

ミヤのある台詞がとても気に入りました。

結局オレは心が折れた

でもいっこだけ折れずに残ったものがある

ピアノが好きだって事

(中略)

好きだっていう気持ちって

自分の可能性を広げてくれる武器になるんだ

ミヤの台詞 – ソライモネ『88RHAPSODY』

ミヤにはスランプの経験がありますが、それでも音楽を続けてわかったことがありました。

だからこそ、律樹の悩みに寄り添えているのだと思います。

個性的で魅力的な登場人物たち

この作品には、ミヤと律樹のほかにも魅力的な人物が登場します。

たとえば、ミヤが所属するバンド『アルデバラン』のメンバーたち。
酒屋さんや住職さんがメンバーにいたりします。
とても個性的で、設定がよくできています。

ボーカルの夜高とギターのあんじについては、『27star』という物語があって、同じ単行本のなかで読むことができます。

メンバーにそれぞれストーリーがあって、個性が混ざりあって『アルデバラン』というバンドができているんですね。

そうしたメンバーたちと出会うなかで、なかなか自信をもてない音大生・律樹がどう変わっていくか……それはこの作品の見どころです。

この作品は1巻で完結しているようですが、まだまだ語られていない物語がありそう。

興味を惹かれるほどに丁寧な人物設定です。

お洒落でクール

この作品、絵がとても良いんです。

表紙だけでも、ぜひみてください!

配色、衣装の描き方、手の描き方!

『僕らの地球の歩き方』もお洒落な作品ですが、『88RHAPSODY』にも作者のセンスが光っています。

ストーリーもさることながら、その絵の美しさもあいまって、続きを読みたくなる作品です。

関連記事:ソライモネ『僕らの地球の歩き方』1巻の感想 – 旅行+グルメ+BL

まとめ

音楽が好きな方、『僕らの地球の歩き方』の作風に惹かれた方にはきっと気に入っていただけると思います。

ぜひ、お手にとって見てください!

*アイキャッチ画像:AnjaによるPixabayからの画像

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この記事を書いた人

属性にとらわれず、自分らしく生きる道を選びました。

音楽やメイクを嗜みます。

ジェンダーレス志向です。
多様性が認められる世の中になることを願っています。

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