束原さき『ブルーノート』の感想-ピアノ+BL

Pam PattersonによるPixabayからの画像
目次

あらすじ

ある出来事からピアニストの夢を諦めかけ、バイトと身体を売ることで生計を立てている奏。ある日、ラウンジプレイヤーの仕事で、謎の男・戈木と出会う。ピアノの腕を素直に褒める彼に、奏は過去のトラウマと重ねながらもほのかな恋心を抱く。誘われるがままついて行った戈木の部屋で、「俺の専属ピアニストにならないか」と提案され…!?

Daria Cafe 商品情報ページより

「ブルーノート」という言葉にピンときたならば、きっと音楽が好きな方でしょう。
スケールやレーベルの名前にもなっている、ジャズの用語ですね。

『ブルーノート』はピアノとともに展開されていく物語です。

物語の中心となるのは奏と戈木(さいき)

奏 :表紙左
戈木:表紙右

音大を辞めた奏は、ラウンジでピアノを弾きながら生計を立てていました。

ある日、演奏の仕事をしていると、そっと隣に座って連弾をはじめる男が。
彼こそが戈木。

クラシックを弾く奏に、戈木はジャズのスイングを重ねていきます。

俺のクラシックに欲しい音が重なる
何度も合わせたみたいに
あの頃のように-
イメージした音が指に伝わってくる

束原さき『ブルーノート』

言葉を交わさないやりとりから、二人の物語は始まっていきます。

戈木は謎の多い人物。
整った見た目。
「ウチで弾いてみないか?」「君にあった場所を用意しよう」と奏に声をかける。
……どうやらお金持ちのエリートさん?

生活に苦労している奏は、戈木との距離を感じているようでもありますが、不思議な感覚に惹かれていきます。

不思議な人だった…
はじめてと思えない連弾
あの人のピアノ-
まだ身体中に鳴り響いてる

束原さき『ブルーノート』

その理由は物語のなかで明かされていくことになりますが、詳しくは本編で。

感想

ラグジュアリーでおしゃれな世界

ラウンジ、グランドピアノ、豪華客船……
ラグジュアリーでおしゃれな要素がたくさん詰まった作品です。

奏はお金に苦労しているのですが、そこもまたポイント。
まさに「シンデレラ・ストーリー」ともいうような、貧しさと華やかさのコントラストが物語の魅力をひきたてています。

演奏から伝わるもの

ピアノを媒介とした物語。

言葉がなくとも、演奏で伝えられるものがある。
言葉で伝えられないことも、演奏では伝えられるかもしれない。
随所に挟まれる演奏シーンは、奏と戈木のコミュニケーションの場でもあります。

戈木の台詞を一部抜粋します。

一小節聴けば十分
好きなモノを理解するまで
それほど時間は必要ない

束原さき『ブルーノート』

「一目惚れ」ならぬ「一耳惚れ」とでも言いましょうか。
音に乗せた二人のやり取りは、この作品の見どころ(聴きどころ?)のひとつです。

謎の男・戈木の魅力

物語が進むにつれて、戈木の人物像が明らかになっていきます。
一見、隙がなく完璧にみえる戈木にも知られざる一面も……

そこが物語に重みを加え、一方向ではない戈木と奏の関係性に深みを与えていると感じます。

これについては、あまり多くを語るべきではないでしょう。

シンデレラ・ストーリーの王子様の影の部分。
そこが描かれることで、戈木の魅力が増しています。


音楽が好きな方、ラグジュアリーでおしゃれな世界に浸りたい方にはきっと気に入っていただけると思います。
ぜひお手にとってみてください!

音楽に関する作品の感想記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

属性にとらわれず、自分らしく生きる道を選びました。

音楽やメイクを嗜みます。

ジェンダーレス志向です。
多様性が認められる世の中になることを願っています。

コメント

コメントする

目次