mame march『僕らのスクランブルース』の感想 – 音楽+国際+BL

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あらすじ

天才音楽家・エディのCDジャケットデザインを担当することになったデザイナーの黒咲。
気難しい天才だと思っていたエディの素顔を垣間見るにつれ、彼が音楽で伝えたい「想い」を考えるようになる。
そんな時、黒咲が進路を決めるきっかけになった歌声がエディのものだったと知り──。

mame march『僕らのスクランブルース』

感想

珍しい設定

音楽を題材にした作品はたくさんありますが、この作品で珍しいのは登場人物の職業です。

主人公の一人である黒崎はデザイナー。
あるきっかけから、もう一人の主人公である音楽家・エディのCDジャケットデザインを担当することになります。

そうか、音楽という題材にもそういう切り口があるのか、とはっとしました。

CDとは、それに収録されている曲を楽しむものですが、その世界観を表現するジャケットもまた作品の一部といえましょう。

「ジャケ買い」という言葉があるように、ジャケットはそのCDを手に取るきっかけとなるもの。
CDという音楽作品では、重要な要素のひとつです。

曲や作曲者を十分に理解していなければ、収録曲にあったデザインはつくれません。

作曲者が表現したいものはなにか、そして、それを表現するためにはどんなデザインにしたらいいか……
この物語では、デザイナー・黒咲は、音楽家・エディと関わるなかで、それを見つけようとしていきます。

黒咲とエディの関係性が、CDという作品にあらわれていく……
そう考えると、この作品の設定はよくできているなと感じます。

魅力的な主人公たち

この作品の魅力は、デザイナー・黒咲と音楽家・エディという2人の主人公。
黒咲は、まっすぐで頑張り屋な性格。対して、エディはクールで気難しい天才肌。

物語の序盤では、黒咲がエディに振り回されているような様子も伺えます。

しかし、物語が進んでいくなかで、エディの知られざる一面が、人間味のある一面が明らかになっていく……
この展開が面白いです。

私が注目したのはエディの表情。
はじめは近寄り難い表情をしているのですが、物語が進んでいくにつれて、様々な表情を見せるようになります。

その豊かな表情がとても魅力的でした。

音楽業界の内側を垣間見れる面白さ

普段、何気なく手にとる音楽CD。
しかし、その制作過程をあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。

私はその1人です。
音楽を鑑賞するのも演奏するのも好きですが、それを世に売り出す媒体であるCDが、どうやってつくられているかを考える機会はありませんでした。

じっくりと注目することが少ない音楽業界の内側を垣間見られるのは、この作品の面白いところの一つだと思います。

どこまで現実に忠実であるかを確かめる術はありませんが、この作品は音楽関連の監修を受けてつくられているそうなので、少なからず、こういう場面もあるんだろうなと思えます。

素人目線で考えても、CDのジャケットデザインって奥が深いですね。
他人がつくった音楽を、視覚的に表現するということですから……

ミュージシャンとデザイナーがお互いに理解しあっていなければ、完成しない表現なのだと思います。
ここにもまた、ひとつのチームワークがあるということでしょうか。

……と深く考えさせられ、音楽を通した表現の魅力をより強く感じさせられる作品でした。

音楽が好きな方、デザインに関心のある方にはぜひおすすめしたい作品です!

*アイキャッチ画像:Bruno /GermanyによるPixabayからの画像

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この記事を書いた人

属性にとらわれず、自分らしく生きる道を選びました。

音楽やメイクを嗜みます。

ジェンダーレス志向です。
多様性が認められる世の中になることを願っています。

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